前回の記事では、全国的に導入が進んでいるBRTの課題について説明しました。
今回の記事では、なぜBRTが群馬で計画されているのか、そしてBRTを成功させるために必要なことについて、私なりの考えをまとめていきます。
【群馬版BRT考①】各地で顕在化するBRTの課題
目次
なぜ群馬でBRTの計画が持ち上がったのか
一般市民には必要性が感じられない
(画像出典:群馬県HP)
まず、群馬では高崎~館林間の移動は基本的に自動車を利用される方が最も多いと思います。また、自動車が運転できない方であれば、両毛線と東武鉄道を乗り継いで移動することになります。
自動車であれば約1.5時間、鉄道であれば時間帯にもよりますが約1.5~2時間で移動できるのが現状です。
群馬県民は自動車保有率が非常に高いですし、高崎の人は館林方面へ、館林の人は高崎方面へ、この距離なら自分の車で行くという判断をされる方が大半でしょう。
そして現在ここに公共交通が走っていないため、この区間に公共交通の需要があるのかないのか、今のところ分からないのがが現状なのです。
この状況では、この区間に公共交通の必要性が感じられないと感じる県民の方が多いのは納得できます。
ポイントはGメッセ
(画像出典:群馬県HP)
ではなぜ、群馬県はBRTを推進しているのか。明言はされていませんが、高崎市で現在整備が進められてるGメッセの需要を見込んでいることは間違いありません。
Gメッセを作るので、そこに東毛から(東武鉄道から乗り換えて)人を移動させるために必要なんだ、という考え方でしょう。
つまり、「県民が日常的に使う用途は二の次」の可能性が否めません。
…というのは個人的な見解ではありますが、同じように考えている群馬県民の方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
群馬県BRT計画の骨子
群馬県は令和元年6月、東毛広域幹線道路(国道354号バイパス)で2021年度の運行開始を目指すBRTについて、全体計画を公表しました。以下、抜粋して取り上げます。
運行ルートと停留所
運行ルートは、東毛広域幹線道路で、JR高崎駅東口―東武館林駅西口間(53.7キロ)を結ぶルートで、その間に停留所を17か所設けるようです。
なお、JR高崎駅、東武館林駅、東武境町駅では電車との接続が可能となるようです。
※芸術劇場付近、Gメッセ群馬付近の2つの停留所については、上り線のみです
運行間隔
運行間隔は15分程度とのことです。
現状の両毛線のダイヤは運行間隔30分程度のため、BRTは両毛線と比較すると利便性が高いと言えるかもしれません。
ただし、この区間の潜在需要が高いという結論が出ない限り、ここまで短い運行間隔は果たして必要なのか考えどころです。
今後の予定
現状では2021年度に運行開始となることが予定されています。
あくまで勝手な想定ですが、今後はこのような流れになっているのではないかと思われます。
2018年 東毛広域幹線道路BRT構想策定協議会組織、需要調査、全体計画の策定
2019年 調査継続、調査結果をもとに事業計画・運行計画の策定
2020年 バス事業者の決定(既存の運送事業者が共同出資もあり得る?)、国土交通省へ運送事業申請→事業認可
2021年 運行開始
群馬でBRTが成功するために
前回の記事でも述べましたが、全国的にBRTの導入が少しずつ増え、BRTの課題が見えてき始めました。
群馬県ではどうすれば、BRTのメリットを活用して県民の日常生活にマッチした公共交通となりうるのでしょうか。
個人的な見解ですが、下記5つの項目が重要だろうと考えています。
自動運転
現在、自動運転技術の検証実験が日本各地で実施されており、先述のJR大船渡線でも自動運転の実験が行われました。
BRTの自動運転が可能になれば、現在減少傾向にあるバス運転手の人手不足の解消となります。人件費削減により、利用料金を下げることもできるかもしれません。
PTPS(公共車両優先システム)もそうですが、新たな技術を積極的に取り入れることにより、採算性・利便性の高いBRTを実現していただきたいですね。
支払方法の簡便化
群馬県のバスは、現在交通系ICカード(スイカ等)が利用できません。鉄道の利用者でも交通系ICカードの利用が当たり前になっていることから、必ず対応して欲しいですね。
また料金体系とは違いますが、長い時間の乗車になるため、グリーン席のような予約制(ネット予約)の座席もあると良いかもしれません。
乗りたくなるバスへ
一番必要なのが、「誰もが乗りたくなる」バスにすることだと考えています。
基本的には日常生活で必要なければ使わないのが当たり前ですが、このBRTに「乗ること」自体が目的になるような、面白い施策があると良いと思います。
子どものころを思い出してください。「私は〇〇から●●へ行くために最も効率的なこの公共交通機関を使うのだ」などと考えず、純粋に「しんかんしぇんに乗りたい!」「飛行機に乗りたい!」と思いませんでしたか?
大人の中にかすかに残るそのピュアなハートを刺激するような、「乗りたくなる」施策が打ち出されることを願っています。
というか、そうでもしないとこの区間に需要は発生しないのではないか…
二次交通の検討
新潟や大船渡などの既存のBRTとの違いは、まったく新たにこの区間へ公共交通機関を通すということです。
各市町村の有する路線バスがあり、それらとの接続をよく考えたうえでのバス停留所位置にしていただきたいですね。
あるいは、市町村が路線バスのルートや停留所を変えてくる可能性もあるでしょう。
いずれにしても、新潟市BRTのように、乗り換えで不満が出るような設計は避けていただきたいですね。
贅沢いってもいいですか?
トイレが欲しい(もちろんウォシュレットつき)。
まとめ
ここまで読んでくださり、誠に有難うございます。ついつい長文になってしまいました。読みにくく申し訳ございません。
BRTのような大きな事業でも、選挙戦の結果次第でがらりと今後の流れが変わってしまします。
今年の県知事選でどうなるか分かりませんが、現在候補と目されている方々はBRTには好意的ではないようです。
群馬県知事選の論点はGメッセに限らないけど、Gメッセについての各者のご意見はこんな感じ。
・山本一太氏『専門家等の評価は極めて厳しい。いろんな人の意見を聞いて県民の為の活用方法を考える』
・石田清人氏『基本的に反対。経済効果が見えない』立ち位置はほぼ同じかなあ。
— もうすぐ群馬人 (@gunmer_man) 2019年6月18日
今後の流れがほぼ確定するのは、選挙戦の行われる7月ごろとなりそうですね。
私としては、甘いかもしれませんがまずは赤字計上で構わないと考えています。ただし、試行錯誤の上誰もが「乗りたくなる」BRTを実現し、遅くとも3年目には黒字計上となるような経営を目指していただきたい。
あとウォシュレットを…
誤字が多すぎます。「意図的に誤字にしているのか?」と思うくらい酷いです。あまりに誤字が多いと、文章の信用度が落ちます。今からでも修正してもらいたいものです。
誤字のご指摘、有難うございました。
当方で気付いたところは、早速修正いたしました。(確かに酷いですね…反省です)
今後も気を付けて参りたいと思います。
これに懲りずに、また本ブログに訪れて頂ければ嬉しいです。