先日、仕事中に立ち寄った高崎中央図書館にて、興味深い書籍を見つけた。(決してサボっていた訳ではない)
『高崎のカレー』(高崎婦人観光プランナー 編)
「お、これは面白そう!高崎のカレー専門店をまとめた本って見たことないな!」
と思い手に取り、ふと発行日を確認。
平成も飛び越えて昭和61年3月。
中身の写真や挿絵も古い古い。ほとばしる好奇心を抑えることなく、早速借りて熟読。
読んでみると、当時流行っていたカレー専門店がいくつも紹介されている。(小林カツ代さんも出てくる)
きっと今とはお客さんの嗜好も違うだろうな。今も営業してるのかな?と疑問が湧いてきました。
そこで今回の記事では、発刊から34年経った今、このグルメ本で紹介されたカレー専門店は今どうなっているのか、好奇心のみで調査してきました。
目次
昭和61年に発刊された『高崎のカレー』とは
30年以上前の高崎のカレー事情がわかる
この「高崎のカレー」という本は高崎婦人観光プランナーから発行され、当時のカレー専門店の情報やいろいろなカレー料理の作り方、そして編集者やシェフのカレーにまつわる思い出話・コラムで構成されています。
冒頭には「カレーたべある記」というコーナーに割かれており、旧高崎市内のカレー専門店9店舗の情報やインタビューなどが掲載されています。
また巻末には本格的なインドカレーの作り方も掲載されていました。
ちなみに高崎経済大学の食堂・喫茶のメニューも記載されており、おそらくこの資料は大学にも残ってないのではないでしょうか。
高崎観光婦人プランナーとは
ちなみにこの高崎婦人観光プランナー、ネットで検索しても出てこないため、既に団体としては解散しているものと思われます。
なお、巻末に事務所として登録されている乗附町の住所の現在を見ると一般民家のため、おそらく観光を盛り上げたい有志のご婦人方の団体だったものと想定されます。
「カレーたべある記」で紹介されている9つのカレー専門店
そのなかで、こちらの9つのお店がとしてまとめられていました。
高崎レストハウス/サンガム/絽綸子/シャガール/からゐ屋/ニューデリー/印度屋/カレーハウスデージー/らぐ
ちなみに掲載されていた(ざっくり過ぎる)地図がこちらです。
紹介されていた9つのカレー専門店の今
本書の「カレー食べある記」の章にて紹介されていた9つのカレー専門店の現在を追ってみました。
ちなみに、店名の前の文章も本書のままです。(”カリーの”『からゐ屋』って、説明手抜きすぎやしないか笑)
自然を眺めながら….『高崎レストハウス』
高崎在住の40~50代以上の方ならご存知の方は多いかもしれません。
私の上司(60代)に聞くと、高崎レストハウスは何度も通ったらしく、「デートの定番のコースだったよ、ハッハッハ」との事でした。
本書では、以下のように紹介されていました。
高崎で初めてのカレー専門店として、国道十七号和田橋際北側に開店、創業二十五周年を迎えた。…四分の一世紀にわたって日々研鑽と努力によって、その味を深めてきたレストハウスは、地元高崎近郊の人はもとより、国道十七号線を行き来する人々の中に大勢のファンを持ってきた。それは彼0の味と共に従業員一人ひとりにまでいきわたった心休まる雰囲気にもあるだろう。そして、この店のムードそのままな支配人、木暮久子氏の気配りに負うところも大であると思われる。…
高崎レストハウスがあったのは、和田橋交差点の近く、以下の場所と思われます。
残念ながら、既に営業はしておらず、建物も現存しておりません。和田橋交差点の改良に伴い立ち退きしたようですが、どこかに移転したという訳ではなさそうです。
しかしかなり人気のお店だったらしく、ネットで検索するとちらほら懐かしむ記事が出てきます。
なお、以前「パスタ通り」について本ブログで書きましたが、その中でも述べた通り烏川河川改修に伴い、「高崎レストハウス」の復活も高崎市は計画しているようです。

当時のメニューは再現されないかもしれませんが、楽しみですね♪
まろやかな味とコク『サンガム』
高崎駅東口のカレー&コーヒーのお店「サンガム」。名前からしてインドっぽくてカレー好きはそそられます。
東口の開発が始まった頃からあるお店のようで、以下のとおり紹介されています。
…駅を降りると畑と競馬場を見渡せた町にポツリ、ポツリとビルが建ち始めた。市営体育館もその一つである。そんな約十年前のころ、群銀栄町支店となりに”サンガム”は誕生した。…カレーとコーヒーの店、サンガムは二階で南北にガラス窓の明るい店内は、気持ちがいい。カレーには、全品サラダがつき600円~700円。なかでもハンバーグカレーやコフタカレー(肉ダンゴ)等は珍メニューで、サンガムランチはカレー・サラダ・スープ・コーヒーが付き900円である。長時間に込んだまろやかな味とコクには、さすがキャリアを感じさせる。…
かつて東口から「畑と競馬場」が見えていたことにまず驚き。
コフタカレー(肉だんご)入り、お目にかかったことが無いので食べてみたい!
場所は高崎駅東口近くですが、、さて、、、
残念ながら、既にお店は存在していません。当時の建物もなく、新たにビルが建てられています。
どこかに移転したのかとネットで検索してみましたが、仲居町に「フードアンドバー サンガム」があるみたい。カレーも出しているようだが、かつての雰囲気とは異なるぽい。そのうち行ってみよう。(人見知りだから店員さんには聞けないけど笑)
アンティックなムードの『絽綸子』
読み方は”ロリンズ”。同僚のおばちゃんが、昔いったことがあるらしい。
掲載された外観写真を見てみると、重厚な佇まいがかっこいい。珈琲哲学とか馬車道みたいな感じでしょうか。本書では、その見た目についても結構な文字を割いて説明されていました。
…高い天井に大きなはり、黒っぽい柱に白いしっくい壁、スペースの広い落ち着いた雰囲気の、素敵なお店だった。壁面には伊万里焼の皿や、茶器、ドイツ製のビールジョッキーがずらりと飾られ、イギリス製のサイドボードも重厚さを感じる。…カレーライスには、ポーク、チキン、ツナ、ビーフ、エビ、カツ、ハンバーグカレーの七種。(500~700円)大きなお皿に盛られたごはんにはレーズンが入っている。カレーがやや辛口のため、甘さを加えたというが、食欲をそそる心憎い趣向である。…
レーズン嫌い。私にとっては心憎い趣向というか憎い趣向笑
この建物、あるならぜひ見てみたい!と思いながら現状を調査。
既に閉店&建物もなくなっているようです。悲しい。
跡地と思われる場所には、戸建て住宅と歯医者さん。いや、もしかしたらヤオコーの土地にあったのかも?情報が古く少ないので、間違っていたらすみません、、、
つやと旨みの『シャガール』
シャガールといえば、フランスの画家。個人的には、なんとなく”不安”になる作風。
店名のとおり、こちらのお店ではカレーだけでなくフランス料理も出しているらしい。
…北部環状線を少し北に入り、市立第七中学校西の田園の中に、オレンジ色の屋根が目に付く。地の利はやや悪いが、固定客が多いのと客層の広いのには、おどろかされる。…よく煮込んであるから、出されたカレーにつやがある。香辛料の調和もよく、コクがありながら後に残らないからさのナンバーを競う風潮の中で、旨みを大切にしている店だと思った。ランチタイムでは、ビーフカレー、シーフードカレーともにコーヒーつきで800円、ケーキセットではレアーチーズ・サラダ・コーヒーで780円。…
市立第七中学校?!そんなのあったっけか…。調べてみると、長野郷中学校の以前の名称のようだ。グーグルマップ先生でも分からないわけだ。
残念。建物は残っていますが、営業はしていない模様。
食べログにも微かに情報が残っているあたり、最近まで営業していたのかもしれない。残念。
カリーの『からゐ屋』
名前が良い。というか、”カリーの”って、もう少し考えてもよかったのでは。
同僚に聞いても知っている人は多く、高崎では結構有名なお店。
…扉を開け中に一歩踏み込むと、耳慣れぬインド音楽、シタールの音色が流れている。カレーと言わず、カリ-言葉の本来の意味はソースなのですが。-と言い、この店では、様々な香辛料の絶妙なコンビネーションで煮込んだものに、ヨーグルトやカシューナッツを加え、まろやかさを醸し出した、独特な雰囲気のカレーを食べさせてくれる。一口食べると、いろいろな味が口の中に広がり、何やらインドの不思議さが伝わってくる。なぜかクセになり、ついつい週に一度は足を運んでしまう。…
先に結論ですが、現在も絶賛営業中です。先日もうかがいまして、私も大好きなカレー店です。
さっぱりしたカレーはほかのカレー店と全く異なる味わいなのですが、ご飯がどんどん進むカレーです。
絶メシリストにも入っており、なんとか今後も生き抜いてほしいお店です!!

インドがいっぱい『ニューデリー』
おお、まさにインドな名前。当時からしたら珍しいかも。いや、そうでもないかも笑
本格的なインドカレーをお望みなら、ここニューデリー。現在は前橋一店舗だが、六十一年三月下旬には高崎問屋町にオープン予定だという、カレー通には大変な朗報。…
んいやまだオープンしてないんかいっ!よく紹介できるな笑
こちらのお店は、現在は「ニューデリー」ではなく「マハトマ」として営業を続けているようです。(パートのおばちゃま情報)
これこそ本場のインドカレーっぽいですね。
ナンを焼いてくれる『印度屋』
印度屋さんは昭和59年に開業し、1年でカレー専門店としての名を高崎に轟かせたらしい。。
こちらのお店も、結構有名なカレー屋さんですよね♪
高崎のカレーの店でナンを焼いてくれるところはめずらしい。強力粉をイースト菌で発酵させ、オーブンで焼いたというナンは、パンというよりピザの台のよう。香ばしくて、それだけ食べても美味しい。しかし、まだ一日に七枚くらいの注文しかないというから、やはり日本人には馴染みが薄いのだろう。ここのカリーの味の秘訣は、十六~八種のスパイスで五時間以上煮込み、一晩寝かせて作るというソースの味。…さらに、辛さに自信のある人には、腕試しならぬ味試し。初段から十段の段入りステッカーがもらえるので、これもなかなか好評。…
あれ?ナンやってるのかな。。。
先日言った際には、ライスしか目に入らなかった気が。ナンがあれば注文するのだけど。。
お察しのとおり、現在も営業しております。建物は建て替えたようですね。
先日うかがった際の記事もありますので、お暇なら是非およみください♪

お堀の四季を楽しめる『カレーハウスデージー』
柳川町のお堀端に存在するという、カレー専門店『カレーハウスデージー』さん。
いまや柳川町は歩く人も少ないですが、30年も前は人でごった返していたらしいですね。
そんな時の柳川町ですから、結構繁盛していたことが予想されます。
柳川町お堀に面した中央にカレーショップ「デージー」があります。階段を上って扉をあけると、明るい店内にプーンとカレーのいい香りが漂ってきます。食欲とはやる心をおさえてメニューを見ると、カレー十種類、スパゲティやピザもあり食欲は増大。特に「デージーアパッチカレー」なるものは強烈なパンチを食らったような、大辛。刺激的な味で、一度食べたら忘れられません。…
アパッチカレー、その名前が気になる。辛いのは苦手なので注文はしないだろうけど笑
お堀端ですから、きっと春には桜できれいな景色を見ながらカレーを食べられたんだろうなあ、、、
残念ながら、現在は営業していません。建物は、おそらくこちらの二階に窓が三つある処でしょう。
うーん、廃れ具合を見ると、行ったことは無いけど悲しい気持ちになりますね。
コーヒー&カレーの『らぐ』
サンガム同様、高崎駅東口。
カレーの説明を読むと、食べたくなる。『コクがあり、トロットした汁』。小麦粉入りの、日本風のカレーと思われます。
高崎の新名所となった高崎駅東口。上毛三山を連想させる噴水を通り過ぎて、東口前の道を北へ50m程歩くと、コーヒーとカレーの店”らぐ”がある。…カレーの種類がたくさんあるというのではなく、カレーの味に自信を持っている店で、メニューも、ラグカレーセット(サラダ、コーヒー付き)、ラグカレー(みそ汁付き)、ハンバーグカレー。どれもカレーは一種類、ちょっと辛めだが後には残らない。ライスの脇に盛られたカレーは、コクがあり、トロっとした汁の中に野菜の綺麗な色が写る。…
珈琲とカレー、昔はセットにしているところが多かったのでしょうか。喫茶店のような雰囲気が、当時のカレー屋さんのトレンドのような気がしてきますね。
というか、東口に噴水があったの?!
残念ながら、現在は営業しておりません。建物もありません。。。
再開発は街をきれいにして魅力を高めてくれますが、同時にかつての風情も消してしまうのですよね。。
まとめ
いかがだったでしょうか。好奇心のみで調査しましたが、悲しくもあり元気付けられる部分もある現実。
9つの店舗のうち、生存が確認されたのは3店舗(からゐ屋、印度屋、ニューデリー)のみ。そのうちの2店舗は絶メシリスト入りしていました。
時代の流れ、お客さんの嗜好の変化もありますが、変わらない味や雰囲気も維持されていってほしい。。。
そんな気持ちになった調査でした。さて、また絶メシめぐりを再開するぞ!!